クレズマー、スラブ、ザディコ、ミュゼット、バルカンにアラブ...5大陸のルーツ・フォーク・ミュージックを果敢に採り込んだ大所帯のアコースティック楽器によるアンサンブル、独語・仏語・英語で男女混在のメンバーがヴォーカルをとり、そして世界を股にかけツアーするという、この分野では他に類を見ないほどの敬愛を集めるグループです。
前作「el dorado」までの打楽器レスにも関わらずフット・ストンピンを喚起する賑わいに代えて、今作「Phantom Songs」(幽霊の歌たち)ではチェンバーの響き、室内楽のセンシティヴィティを多く取り入れています。12人のメンバーたちが織り成すアコースティック楽器のみならず、チェロなどのゲスト・プレイヤーを招き、人々の生活に於いての人間哲学が折り込まれた詩的な歌の数々。アルバムを制作していた2010年は、例年よりツアー数を控えベルリンで過ごす事が多かった17ヒッピーズ。その分、より機知に富んだアルバムとなっています。
弦楽と装飾的なダルブッカの余韻をくぐり抜ける神秘的なシャンソネット、女性メンバーのキキ・ザウアー(acc) が唄う仏語歌詞の"ton etrangere"に始まり、海辺を前にした少年の純朴な想いを北米大陸エッセンスの美しく広がるカントリー・ポップに載せて描くクリストファー・ブレンキンソップ(ukulele, bouzouki, g) 作・英語詩voの”lazy friends & promises"、アルバニアのトラッド曲を下敷きとし、中南米のフォルクロリックなリズムにブラスとアイリッシュな笛の音、家に帰らないbad boysをドイツ語で唄ったダーク(cla)作の"biese bouwe"、ブズーキの音色と-ouhh la nuit tombee-の印象的なメロディにヨーロッパの寂寥な秋冬の夜情景が浮かぶ"jolies filles”(=pretty girls)、陽気なマウンテン・ホップといった風情の"the train"...NYからキャレキシコなどで知られるJ.D.フォスターを共同プロデューサーに迎えた全13曲。おそらくはアルバムの楽曲に登場するbiese bouwe (bad boys)とjolie filles (pretty girls)を象った切り抜き加工のアートワークが施された美しいデジパックに、独語・英語・仏語・西語で歌詞対訳がついたブックレット。深みを増したアコースティック・アンサンブルで新機軸をみせる17ヒッピーズの傑作新譜。
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ttp://17hippies.de/de/musik/phantom-songs(試聴のできるオフィシャル・サイト)