ナクソス系列のレーベルでもリリース実績があり、ピアソラとの共演経験からクラシック音楽の分野でも名を知られるアルゼンチンのピアノ奏者グスタボ・ベイテルマンのトリオが、ピアソラや自作のタンゴとデューク・エリントンのスタンダード・ジャズに斬新な解釈を施したものを交互にプレイするという歴史的な作品がおよそ20年の時を経てCD化。
サンタ・フェで生まれ、ロサリオからブエノス・アイレスへと移り音楽の素養を磨き、アストル・ピアソラの楽団でピアノ奏者として起用されたことで有名となったグスタボ・ベイテルマン。独裁政権下のアルゼンチンからヨーロッパへと亡命。フランスやイタリア、そして自身が講師を務めるロッテルダム音楽院のあるオランダでも活動していました。タンゴを基盤に、ジャズの手法も修得している知る人ぞ知るプレイヤーです。ここでは、N.Y.タイムス紙に"楽器と一体となって感情の宇宙を表現している"と評されたビクトル・ウーゴ・ビジェナのバンドネオン。ラウル・カルノータらフォルクローレでも広く活躍するロベルト・トルモのコントラバス。このエレクトロ・タンゴのユニット、ゴタン・プロジェクトへの参加でも知られる名手たちと、繊細極まりないタッチからキレの良い情熱的なダイナミズムまで、真剣かつスリリングな音の対話を行った伝説のライヴ実況録音。曲間、ややあっててから湧き上がる拍手からも、息を潜め、食い入るように演者の手元を見つめる観衆が目に映るようです。収録曲は自作の"Travesia"にはじまり、"Contrabajeando"(A.トロイロ=A.ピアソラ)、"Nocturna"(J.プラサ) といったタンゴ・クラシックから、デューク・エリントンを彼らアルゼンチン・タンゴを極めたものたち流に解釈した楽曲たち"I've got it bad and that ain't good"、"Satin doll"、"Prelude to a kiss"、"Solitude"、"In a sentimental mood"、"Caravan"、"Take a A train"など。2003年6月7日アルゼンチン、ロサリオ、スペイン中央文化公園内プリンシペ・アストゥリアス劇場にてライブ実況録音。