ことばやハーモニーと忠実に向き合った、木目のアコースティック感。ホジェリオ・サントスの新譜。タチアナ・パーハ、ファビアナ・コッツァらがゲスト参加。
冒頭からタチアナ・パーハのスキャットと、ホジェリオ・サントスによるパンデイロの叩き歌い(エンボラーダ)で幕を開ける本作、神秘的なムードを醸し出しているのですが、土着的というよりは芸術的な印象を受けます。アルバム自体は6弦のクラウヂオ・ドゥアルテと7弦のイタロ・ペロン、ふたりのギター奏者のシンプルなアンサンブルに、ほど良いアクセントとなっているアリ・コラリスの打楽器、そしてホジェリオ・サントスが様々な共作者と制作したコンポジションと唄で、敬愛するアドニラン・バルボーザのサンパウロ産サンバの系譜を受け継ぎつつも、そこかしこに洗練された爽やかな風を吹かせてくれています。ミナス産と見紛うかのように突き抜けた旋律を持つm-4"Benção de Lansã"では、リードvoにファビアナ・コッツァが登場。小鳥のさえずりと羽ばたきを歌ったm-5""Uirapuru, o Canto e a Asa"はギンガのように熟考されたヴォイシングが不思議な魅力を放ちます。m-6"Resedá"にはソロ作が評判となった若手バンドリン奏者ファビオ・ペロンとフルート奏者マイアラ・モライスが参加、マルシャのm-10"Ponto"ではギター・レスとなり、イヴァン・ゴメスのeベースと、マリア・ベラルド・バストス(クアルタベー)が陽気に盛り立てます。繊細かつ丁寧に紡ぎあげた音から、作り手の想いが伝わって来る、そんな一枚です。