2023/2/11 売り切れました。
エレクトロやダブステップとサンバやボサ・ノヴァを融合、新世代ブラジル音楽、旗手のひとりとしてゼロ年台を牽引したルカス・サンタナ。フランスのレーベルより、ヴァンサン・セガール(cello)やゼー・ルイス・ナシメント(per)らと作り上げた9作目のニュー・アルバム!"Fool on the hill" (ビートルズ)の洗練されたブラジル流解釈や、"Errare humanum est"(ジョルジ・ベン、74年) のミニマムで現代的なカヴァーも収録。
'70年バイーア州の生まれで、ジルベルト・ジルのフルート奏者として表舞台に登場、アート・リンゼイに楽曲提供・共演するなど、リオを拠点にゼロ年代をブラジル音楽の尖った感性として国内外で紹介される機会に恵まれたルーカス・サンタナ。エクスペリメンタル・ブラジル音楽の先達、トン・ゼーの甥でもあります。リオで活動していたミュージシャンらしく、飾らないナチュラルで柔らかい唄声は健在で、今回は同レーベル - ノー・フォルマでアフロ・チェンバーな名作をリリースしているヴァンサン・セガール(cello) や、ト・ブランヂリオーニとデュオ作もリリースしているゼー・ルイス・ナシメント(per)、数曲で共同アレンジャーとしてクレジットされるフレデリック・ソウラール(key/マエストロ、リムジン) らパリに拠点を置く音楽家やエンジニアたちと、アコースティック楽器のアンサンブルにエレクトロニクスがハーブの様なエッセンスとなっている印象を受けます。パンデミック下で行われた作曲作業の最中、疫病に覆われた世界が抱える不運、環境破壊による地球温暖化などに思いを巡らせ、書き綴った言葉や音符が本作に収められています。ここは楽園、と始まるタイトル曲に、英語詩のm-2"What's life"、他の惑星に住むのは無理だよと諭すm-3"Vamos ficar na terra"、そして終盤の一体感のある子供コーラスが強烈に惹きつけるm-5"La biosphere"から、カリオカの女性シンガー、フラヴィア・コエーリョをゲストに迎えたm-6"Muita pose pouca yoga"、ランペラトリスのフロール・ベンギギをフィーチャーしたm-7"Fool on the hill"の達観して包み込むような中盤の流れは本作のハイライト。コンセプチュアルで、恐るべき完成度の高さです。