ボサ・ノヴァ第二世代として名だたる音楽家たちからも注目を浴びていた女性S.S.W.ジョイス。(現・ジョイス・モレーノ)。毎年夏に来日し、日本のブラジル音楽好きの間で絶大な人気を誇る彼女の1969年作。ルイス・エサ(タンバ・トリオ)がアレンジを担当したクリアで爽快な一枚。*正規盤としては、かつて日本でのみCD/LPで再発されていました。ブラジル本国では初のリイシューとなります。*現地レーベルでは新品在庫、無くなっているようです。お早めに。
蒼き清涼感を漂わすハーモニー、グルーヴィーでお洒落なベース・ライン、カイピーラ・ギターのカッティングに管弦の滑らかなアンサンブル、昂揚感をもたらすアップ・テンポなアレンジ、トロピカリア期特有の高低跳ねるメロディをもろともせず可憐に歌い回すジョイスの歌声。90's以降のポップ・カルチャーに少なからず影響を与えている色褪せないサウンド。'68年の1stアルバム、フェミニンなメッセージ性を持った歌詞で男性主導のブラジル音楽界をアッと言わせたジョイスが、フィリップス・ブラジル支社長アンドレ・ミダーニとMPBを牽引した名プロデューサー-ネルソン・モッタの肝煎りで世に送り出した本作。民間伝承の"Adam, Adam"に始まり、ジルベルト・ジル=ナナ・カイミ作a-3"Bom dia"、ルイス・エサ編曲でジャズ・ソウルの解釈が施されたa-6"Asa Branca"(ルイス・ゴンサーガ=ウンベルト・テイシェイラ)、ダニロ・カイミ作b-1"Longe do tempo"、一人目の夫ネルソン・アンジェロの作品a-5"Como vai, vai bem?"、b-5"Caminho pro sol"、そしてタイトル曲a-2やa-4"Copacabana Velha de guerra"などジョイス自身の作品や共作が4曲。ジョイスが世に送り出したかった自作や"自分が作りたかった楽曲"を自由な環境のもと思う存分制作できた、と語る名作。
*リマスターされて↓原盤より鮮明な印象を受けます。