2023/6/22 売り切れました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
10年前にレコーディング、6年前にリリースされている作品なのに現在の空気感にジャスト・フィットするボサ・ノヴァの傑作を。新作をリリースしたばかりの
ヴェント・エン・マデイラとも所縁の深い作品です。
'43年リオ生まれのコンポーザー/アレンジャー、自分でギターを弾き唄うシンガー・ソングライターとしての顔も持つテオ・ヂ・バホス。エルメート・パスコアルやアイアート・モレイラを擁した60's伝説のグループ - クアルテート・ノヴォのメンバーでもあります。この他に2枚自身の名義の作品を発表しているのですが、「Theo」は2年の間に書かれた150もの楽曲、パウロ・セーザル・ピニェイロやクリスチーナ・サライーヴァ、息子のヒカルド・バホスらと共作されたものから16曲に厳選、レア・フレイリのマリタカ・レーベルのもと、レアとテコ・カルドーゾ夫婦のフルートにナイロール・プロヴェータ(cl) の木管アンサンブル、ヴァルミール・ジル、マリオ・ホシャらの金管にOSESPの弦楽オーケストラ、エドゥ・ヒベイロ(drs)とカイト・マルコンデス(per)の打楽器陣、タチアナ・パーハらのコーラス・ワークのみならず、モニカ・サウマーゾにヘナート・ブラスもフィーチャーされた客演陣、と現代ブラジル音楽の精鋭たちが集って制作されました。そして何よりボサ・ノヴァ・スタイルのテオの生ギターと円熟の唄声が素晴らしい一枚です。冒頭のムビラやハングに導かれたアフロ・ブラジル賛歌"Angola" の瑞々しく澄んだメロディ、そしてモニカ・サウマーゾがリード・ヴォーカルに据えられたm-4"Natureza"、軽快なジャズ・サンバのインストゥルメンタル佳曲m-9"Minhoqueto"、ヴィブラフォンと共にイマジネイティヴなボサ・ノヴァを展開するm-10"Cinema"、タチアナ・パーハをヴォーカルにフィーチャーした流麗なm-13"Festa de Touros"ではテオがトリッキーな生ギターを弾いています。ヘナート・ブラスやモニカ・サウマーゾが唄い回す組曲形式の最終曲"Sete Violas" まで、手の込んだ制作が為された大作で、唄+ギターのシンブルなボサ・ノヴァと深みを与えるオーケストレーションが見事に溶け合っています。