2026年10月ヘナート・ブラスたちとの来日公演が行われた白寿ホールでも際立っていたのが、ドロップ・チューニングをしたギターで水の匂いの漂うハーモニーを紡ぎ出す、マリオ・ジルの自作曲群の沁み入る良さ。以前、アコースティック・ブラジル音楽の名盤として当店でも扱っていたCD『Comunhão』を少しですが、買い取って参りましたので、コンサートに行けなかった方、買いそびれていた方、この機会にぜひ。
1962年ミナス・ジェライス州ジュイス・ヂ・フォーラ出身で、1980年代初めにサンパウロに拠点を移し音楽活動を行なってきたマリオ・ジル。ヘナート・ブラスやモニカ・サウマーゾ、コンスエロ・ヂ・パウラらに楽曲提供を行う他、ミキシング・エンジニアやヒタ・グーロ、マテウス・サルトリら若手のアルバム制作も手がけています。インテリジェントな見かけ通りに寡黙だというマリオ・ジルは、最近ですとセスキ・サンパウロから『DORI CAYMMI LETRA E MÚSICA: 80 anos de um cantador』という書籍を出版。これがかなりの評判を呼んでいるとヘナート・ブラスがMCで語っていました。さて、自身三作目となる『Comunhão』では、モニカ・サウマーゾがアルバム『Voadeira』で採り上げた「Dançapé」のセルフ・カバーに始まり、「Acalanto」と「Pajé」にはデビュー前から交流の深いモニカ・サウマーゾが参加、「Vaga-Lume」にルシアナ・アルヴィス、「Olho de Fogo」に盟友ヘナート・ブラスが参加。詩作を手がけるパウロ・セーザル・ピニェイロやベース奏者ホドルフォ・ストロエテールらとのコラボレイトもあり、内面を見つめるような静かなムードの中に、親密な仲間たちとの共有・共感が存在しています。